日本におけるフランチャイズ方式の始まりは、1963年のダスキンと言われていますので、国内でのフランチャイズの歴史は50年程度と言えます。

この50年にフランチャイズビジネスは、時代によって若干の変動はあるものの、おおむね右肩上がりの成長を遂げている分野と言うことが出来ます。

では今後のフランチャイズの動向は、どのようになると予想されているのでしょうか。

一般にはあまり知られていませんが、経済産業省が2004年に「国策としてフランチャイズビジネスの支援に本格的に取り組む」と正式に発表しています。これによって、大学などで体系的にFCビジネスを学べるプログラムを作成したり、FC本部の格付けを行ったりするなど、フランチャイズを取り巻く環境は確実に良くなってきています。

国の政策としてフランチャイズを伸ばしていこうという方向性は、今後のフランチャイズの発展に大いに関係してくると思われます。

今後の成長が期待できる分野は、やはり社会全体の「少子高齢化」に深く関わっている分野だと思われます。

たとえば直接的に「介護サービス」「デイケア」「幼児教育」「学習塾」といった、福祉や子育てに関わるものや、長寿社会を反映した健康志向を満たす「フィットネス」「リラクゼーション」関係、家族で楽しむ傾向が強くなっていることからレジャーに関わる分野も、注目株と言われています。

働き手が少なくなることから共働き家庭が増加し、「ハウスクリーニング」「ベビーシッター」「ハウスリペア」などの代行業も、成長が期待されます。
社会の風潮や時代の変化を確実にキャッチする必要があるでしょう。

一方、フランチャイズ全体の傾向としては、「一般的な顧客のニーズを拾う」最大公約数的な展開と、「一部の特殊なニーズにターゲットを絞った」ニッチ（隙間）的な展開の、二極化が進むのでは、と予想されています。

たとえば一般的なニーズとしては、コンビニやファストフードといった、誰でも知っている、ブランド化した店舗展開が当てはまります。全国どこに行っても、同じ店名、同じ店舗仕様で、同じ商品が手に入るという安心感と信頼感が、広く大衆に受け入れられている業種と言えます。

他方、特殊なニーズとしては、漫画喫茶やネットカフェ、絵本専門の書店、カーシェアリング、靴のクリーニングなどがあげられるでしょう。極端に取扱い商品を絞った商売も特殊なニーズの展開と言えるかもしれません。たとえばウォーターサーバーやハンコ専門店、高齢者向けの宅配弁当、広い意味では焼き鳥やたこ焼きの販売なども、この仲間に入ってくるでしょう。

このように二極化した状況下では、中間層の「まあまあ良い」的な評価は力が弱く、顧客はブランド化した安心感か、ピンポイントで自分の必要とする商品やサービスを提供してくれるものかの、どちらかを追い求めていると分析できます。

小売業・サービス業・飲食業の3業種の近年の動向をみると、一番プラス成長が見られたのは学習塾関連のフランチャイズでした。店舗数・売上ともに高い成長率を見せましたが、これは塾への設備投資を抑え、初期費用を抑えたことから参入しやすく、売り上げ・店舗増加にも貢献しているとの分析になっています。

政策のバックアップもあり、今後も成長を遂げるとみられているフランチャイズ産業ですが、全体の傾向としては「低リスク・低投資」の開業方法へとシフトしていくとみられています。

飲食分野で参入が最も激しいのは、ワゴンを利用した軽食ビジネスですが、このような店舗設定は店舗を取得する費用が掛からず、またメニューも絞り込んでいることから在庫を最低限に抑えてリスクを回避することが出来ます。

通常、レストランなどの店舗を一軒構えようと思うと、戸建ての住宅を購入するくらいの初期投資が必要だと言われています。それと比較すると、より参入しやすい条件で、フランチャイズビジネスがさらに広がりを見せるだろうと予測されます。

経営の基本は、いかに自分の店を顧客に選んでもらうか、ということに尽きます。

そういった意味でフランチャイズビジネスは、すでに出来上がっていて「成功を収めているビジネスモデル」として、安定して高いレベルのサービスやノウハウを丸ごと提供されて開業するため、ビジネスを大きく花開かせる可能性や力を秘めていると言っても過言ではないでしょう。